- 2019/03/12 11B 油圧モータ [ Japanese ]
■ 106933
目次
安全注意事項 .................................................................................................................................. 2
慨 要 ............................................................................................................................................ 4
1.1概要 ....................................................................................................................................... 4
1.2動作原理 ................................................................................................................................ 4
1.3仕 様 ................................................................................................................................... 6
2据え付け ....................................................................................................................................... 7
3.パーツリスト/図面 .................................................................................................................... 8
4.保守........................................................................................................................................... 12
4.1油圧モータの点検と分解 ..................................................................................................... 12
4.2ピストンシールの交換 ........................................................................................................ 13
4.3パイロットバルブの取外し - トリップバルブAssy(61)の一部....................................... 13
4.4シャフトシールとワイパシールの交換 ................................................................................ 13
5.油圧モータの 組立て................................................................................................................. 14
5.1ピストン .............................................................................................................................. 14
5.2トリップバルブと戻り止め ................................................................................................. 14
5.3シールハウジング................................................................................................................ 15
5.4ダッシュポット ................................................................................................................... 15
6.保守 点検 .................................................................................................................................. 16
7.トラブルシューティング ........................................................................................................... 17
8スペアパーツリスト ................................................................................................................... 18
11B 油圧モータ
取扱説明書
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製品の説明
106933-11B油圧モータ
この機器は、溶剤系および水系塗料用ポンプとして最適な構造となっています。
製造元:
Finishing Brand Automotive Finishing
Justus-von-Liebig-Straße 31, 63128 Dietzenbach. DE
安全注意事項
実際にこの装置を使う前に、以下の説明および安全上の注意事項をよく読み、遵守してください。
この製品は高度な技術水準に基づいて組み立てられており、高い信頼性を誇ります。しかし、充分な訓練を受けていない作業員が不
適切な操作をしたり、本来の目的以外に使ったりすると、事故につながる恐れがあります。
使用国・地域における、安全な運用や事故防止に関する法令や規制は常に遵守してください。
本製品の据え付け、運用、点検修理、洗浄に当たっては、国際法規、使用国・地域における法令や規制、使用企業の内規を遵守しな
ければなりません。
本製品の運用責任者は、この操作マニュアルを熟読し、内容をすべて把握、遵守しお使いください。操作マニュアルの指示に従わな
かった結果、何らかの損害が発生しても、BINKS PCE この操作マニュアルの内容(取り扱い規則、図面などを含む)の一部または全部
を、商用目的で複製、配布、使用するためには、BINKS PCEの許可が必要です。
技術的な改良のため、図面や仕様の記載を予告なく変更することがあります。
据付、運転、保守・点検の前に必ずこの取扱説明書と付属書類をすべて熟読し、正しくご使用ください。機器の知識、
安全の情報そして注意事項のすべてについて熟読してからご使用ください。
この表示を無視して、誤った取扱をすると、死亡や重傷など損害を負う可能性が想定される内容を示しています。
この表示を無視して、誤った取扱をすると、中程度の傷害や軽傷など損害を負う可能性が想定される内容および物
的損害の発生が想定される内容を示しています。
なお、注意に記載した事項でも、状況によっては重大な結果に結びつく可能性があります。安全に関する重要な事項を記載しています
ので必ず守ってください。
運搬・据付けに関する注意
製品の重量に応じて、正しい方法で運搬してください。けがの原因になります。
制限以上の多段積みはしないでください。
据付けは、重量に耐える所に、取扱説明書に従って取付けてください。
損傷、部品が欠けている場合は運転をしないでください。
製品の上に乗ったり、重いものを乗せないでください。
下記の環境条件でご使用ください
周囲温度 − 10 ℃〜+50 ℃(凍結のないこと)(全閉鎖構造仕様のアタッチメント使用の時は− 10 ℃〜+40 ℃)
周囲湿度 90% RH以下(結露のないこと)
保存温度 *− 20 ℃〜+65 ℃
雰囲気 屋内、腐食性ガス・引火性ガス・オイル・ミスト・塵埃のないこと。
標高・振動 海抜 1000 m以下・5.9 m/S2 {0.6 G}以下 (JIS C 0911準拠)
*輸送時などの短時間に適用できる温度です。
高圧/静電気に関する注意
高圧機器の取扱いは、使い方が適切でないと死傷事故につながる恐れがあります。据え付けや保守は、充分な訓練を受
けた作業員が実施してください。
1. 高圧機器を使う作業の際は、ポンプ、液圧装置、圧縮エアモータを充分に離してください。
2. システムから受ける圧力を緩和する措置が必要です。圧力がシステム内に閉じ込められている可能性があるので、
残存圧力がないか、システム全体を点検してください。高圧機器を停止の際は内部残圧を抜くこと。
3. 付属品を取り外す際は特に注意が必要です。
4. ホースに裂け目が見つかった場合は直ちに交換してください。
5. 漏れが見つかっても、指でふさいだり、粘着テープなどで応急措置をして使ったりはしないでください。
6. さらに、静電気の発生を防ぐため、運転に先立ち、適切に接地されているか確認してください。
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機器の操作に関する注意
機器の使い方を誤ると、破裂や動作異常により死傷事故につながる恐れがあります。
訓練を受けた専門技術者以外には使わせないでください。
操作マニュアル、機器に取り付けられたタグやラベルをよく読んでください。
本来の目的以外には使わないでください。
改造はせず、部品や付属品は Finishing Brandの純正品を使ってください。
定期点検を実施し、劣化、破損した部品は直ちに交換してください。
最大動作圧力(本体に表示、または技術データとして記載)を超えて運用しないでください。
輸送する塗料や溶剤が直接接触する部品は、その性質に応じたものを選んでください(各操作マニュアルの技術データを参照)。
また、溶剤の製造元が公表している注意事項にも従う必要があります。
ホースは、人その他が通行する区画を避け、とがったものや可動部品、熱源から離して敷設してください。82℃以上あるいは
− 40℃以下にならないようにしてください。
機器を操作する際は耳栓をはめて行ってください。
加圧した状態のままで機器を持ち上げないでください。
火気や電気の取り扱いに関する、使用国・地域の規制に従ってください。
引火、爆発、電気ショックに関する注意
接地や換気が不充分であったり、裸火や火花放電にさらされる状態においたりすると、引火、爆発、電気ショックの危
険があります。
この操作マニュアルに従って設置、使用する場合、電動ポンプは危険地域で使用する際は属する区画で使うようお勧め
します(ATEX Category 2)。
電気機器の据え付け、操作、保守修理は、必要な訓練を受けた作業員が、この操作マニュアルの内容を完全に把握した上で実施して
ください。
本製品その他、スプレー区画内にある電導性の機器や部品は、確実に接地してください。
モータ回転中はカバーを外さないでください。
使用中に静電気放電が見られたり、電気ショックを感じたりした場合は、直ちに使用を中止し、問題を取り除くまでは決して使わな
いでください。
充分に換気を行い、塗料や溶剤から出る引火性気体が滞留しないようにしてください。
ポンプの周囲に、溶剤、布切れ、ガソリンなどのごみを残したままにしないでください。
ポンプ周辺の機器はすべて、絶縁した状態にしてください。
裸火、種火の類は使用しないでください。
運用中や、運転を終えてからも引火性気体が残っている間は、電源のスイッチをオン/オフしないでください。
高温に関する注意
電気モータはかなりの高温になり、その熱が周囲の機器にも伝わります。火傷を防ぐため、回転中のモータには触らないでくださ
い。
保守点検は充分に温度が下がってから実施してください。
引火性物質やごみを機器のそばに置いたままにしないでください。
加圧した状態の機器に関する注意
ガン/バルブからばかりでなく、裂け目が生じたホースや破裂した部品からも液体が噴出し、目に入ったり皮膚に触れ
たりする恐れがあります。
ガン/バルブの先を人に向けないでください。
裂け目があっても、指その他の体の一部、手袋や布切れなどで塞ごうとしないでください。
スプレー/吐出を停止する、機器を洗浄/点検/修理するなど、圧力を下げる必要がある場合は、内部残圧を完全に抜いてくださ
い。
ホース等の結合箇所がしっかり締めつけられているか、運転前に点検してください。
ホースやチューブおよびその結合箇所は定期点検し、裂け目や破損、緩みがある場合は直ちに交換してください。
有機液体を輸送する場合の注意
有機液体から発生する気体により、目に入る、皮膚に触れる、吸い込む、飲み込むなどにより、死傷事故に到る恐れが
あります。
輸送する液体の性質や危険性をあらかじめ調べておいてください。
危険な液体はそれに適した容器に入れ、廃棄する際は当該国・地域の法令や規制に従ってください。
製造元が推奨する保護用眼鏡、手袋、保護衣、防毒マスクを着用してください。
可動部品に関する注意
カム、駆動機構などの可動部品により、指を挟まれたり切断されたりする危険があります。
可動部品の周囲を整頓してからポンプを作動してください。
動作中は駆動部のカバーを外さないでください。
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慨 要
1.1概要
型式 11B 油圧モータは、ビンクスの各種のフルイドセクションとともに使用して塗料、溶剤およ
びその他の適切な液体のポンプ圧送を行う往復動駆動ユニットとして設計されています。
ユニットは小型にまとめられており、往復動のための外部機器や制御装置を一切必要としません。
内部のバルブ構造は、長期間の使用に十分な耐久性を持つ設計となっています。
バランスの良いピストン動作はアップストロークでもダウンストロークでも等しい推力を発生し、
流体圧の脈動を最小限に抑えます。
動速度は、供給油圧圧力により仕様の範囲内で無段階に調整することができます。
内部のダンピング機器と独自な設計の「切替」スプールにより、作動時の静粛性は同種の他の油
圧モータでは達成できないほど優れたものとなっています。
ロッドシールと軸受けハウジングが簡単に取り外せるので、保守を容易に行えます。
1.2動作原理
アップストローク:- この動作では油圧作動油は循環通路またはピストンのロッド側に供給され、
ピストンロッドが押し上げられシリンダ内で上昇します。この時、シリンダ内に残留している作
動油はピストンロッドの上昇により押し上げられ、ピストンのボアが開き、作動油が外部に排出
されます。
ダウンストローク:- この動作ではピストンの上下両側に油圧が作用しますが、ピストンロッド
上面の方が受圧面積が広いため、ロッドには押し下げる方向に力が働きます。ダウンストローク
の間流体はポンプの外へ排出されず、ピストンのロッド側の作動油はシリンダー側面を通りピス
トンの上面側へと送られます。
切替バルブ:- ピストンの運動方向を決めるバルブは、トップエンドキャップハウジングの中に
あります。この 2 個のポジションバルブには戻り止めスプリングによってそれぞれの位置に保持
されます。
各ストロークの終点では、上部と下部のコレット(56)がトリップスプリング(1)を同時に圧
縮し、トリップバルブが新しい位置に移動します。そしてトリップバルブが動いて円筒ローラー
(45)が開き始め、圧縮されたトリップスプリングによって切替が行われます。この一連の動作
により、油圧モータの往復運動が継続されます。
切替バルブの上部にはダッシュポットが接続されています。このダッシュポットは切替が行われ
ている間のバルブ速度を制御し、バルブスプールとともに騒音量およびモータとフルイドセクシ
ョンへの過渡な衝撃を制限します。この働きは、厳密に制御されるオリフィスを通じて作動油が
一方から他方へと移動することにより行われます。
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「動作原理」
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1.3仕 様
項 目 型式 11B
最大作動圧力 10.3 MPa
1500 psi
定格ストローク 125 mm
5 in
推奨最大作動速度 – 断続
推奨最大作動速度 – 連続
30 サイクル/min
20 サイクル/min
推力/10.3 MPa(1493 psi) 29.6 kN
6645 lbf
1サイクルあたりのオイル消費量 0.72 L
0.19 US gallon
入口継手 1/2㌅ BSP 規格
出口継手 3/4㌅ BSP 規格
鉱物系作動油
(規格 ISO 6743/4)
型 HM32~HM37
(センチストークス/40ºC)
作動油ろ過度 10 ミクロンまたは
これを上回るろ過度
オイルの個体微粒子による汚染 (規格 ISO 4406) スケール 18~14
油温範囲 30~55℃
重量(約) 38.5 kg
85 lbs.
騒音レベル 70 dBA
60 GPM フルイドセクションを使う場合の圧力比率 0.19:1
45 GPM フルイドセクションを使う場合の圧力比率 0.25:1
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2据え付け
この油圧モータは、内蔵のバルブにより往復運動を維持するように設計されています。必要な作
業は、油圧の供給配管と戻り配管の接続だけです。供給配管を遮断すればモータを停止させるこ
とができます。
下図は油圧作動油供給施工例(1,2)を示します。
設置を終えたら、ダッシュポット(57)を通じてモータ内部のエア抜きを行う必要があります。
そのためには、モータを適度なサイクル(毎分 25 サイクル程度)で作動させてください。続い
てエンドキャップ(44)のエア抜きネジ(42)を緩め、約 0.5 リットルのオイルを内部のエア
と一緒に排出します。エアの排出が完了したらエア抜きネジを完全に締め、必要に応じてモータ
を再始動してください。
注意事項:オイルの流速を適正に保つには、戻り配管を供給配管よりも大きい配管にしてくださ
い。作動油が油圧モータの出口から排出されるのは、アップストロークのときだけです。
一方、供給側はアップ、ダウンいずれのストロークにおいても、モータの入口から作動油は流入
します。
作動油の最大推奨流速は毎秒 2.5 m/sec です。
油圧モータへ接続するホースの推奨内径:
供給側が直径 1/2㌅、戻り側が直径 3/4㌅。
配管の内径を計算するには次の等式を使用します:
ただし V = 流速(m/秒)
Q = 流量(L/分)
D = 内径(mm)
例1.(減圧弁使用)
例1.(リストリクター使用例)
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3.パーツリスト/図面
Item 部品番号 名 称 数 量 備 考
1 160407 トリップスプリング 1 # X
2 160408 戻り止めスプリング 2 # X
3 161023 O-リング 1 #
5 161450 O-リング 1 #
6 161452 O-リング 1 # X O
7 161453 O-リング 1 #
8 161454 O-リング 2 #
9 161972 O リング 1 #
10 161457 O-リング 3 # X
11 161560 O-リング 2 # X
12 161620 O-リング 2 # X
13 161958 O-リング 1 #
14 161966 ガスケット 1 # X O
15 192115 メインシャフトシール 1 # X O
16 162589 ピストンシール 1 # X
17 162678 クワッドリング 1 # X
18 192116 シャフトワイパシール 1 # X O
19 163267 キャッスルナット 1
20 163268 六角ナット 1
21 163880 六角穴付きボルト 6
22 164261 六角穴付きボルト 3
23 164292 六角穴付きボルト 6
24 164311 六角穴付きボルト 12
25 164537 アイボルト 1
26 164838 丸頭ネジ 4
27 165021 スプリングワッシャー 3
28 165024 スプリングワッシャー 6
29 165025 スプリングワッシャー 12
30 165554 六角穴付きボルト 6
31 166112 インターナルサークリップ 1 # X
32 166268 ダウエル 2 No. 46 に装着
33 166502 スプリットピン 1 # X
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「パーツリスト」
Item 部品番号 名 称 数 量 備 考
34 171692 プラグ 1
35 171889 摩耗板 2 # X O
36 171890 摩耗板 2 # X
37 174638 おすスタッドエルボー 1
38 191245 キャップ 1
39 191248 ディフレクタ 1
40 191253 ガスケット 2 # X
41 191537 ラベル 1
42 191624 エア抜きネジ 1
43 191819 カップワッシャー 1
44 191910 エンドキャップ 1
45 191913 円筒ローラー 2 #
46 191914 戻り止めハウジング 2 #(No. 32 を備え
る)
47 191915 ローラーフォロワ 2 #
48 191921 ピストン 1
49 191923 ピストンリテーナー 1
50 192117 シールハウジング 1 O
51 191931 スペーシングシム 2
52 191936 スプリングネジ 2
53 191937 トリップインサート 1
54 191985 ピストンロッド 1
55 191986 スリーブ 1 #
56 191988 スプリングコレット 2
57 191989 ダッシュポット 1
58 206921 下部カバー 1
59 206922 シリンダアッセンブリー 1
60 206927 モータカバー 1
61 207971 トリップバルブ/ロッドアッセンブリー 1 #
62 220311 警告ラベル 1
63 220316 銘版 1
#
X
O
スペアパーツ分解検査キット(25 05 24)に含まれます
スペアパーツシールキット(25 05 32)に含まれます
シールハウジング点検修理キット(50 19 70)に含まれます
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4.保守
4.1油圧モータの点検と分解
注意事項: - 油圧機器での作業では、ユニットを分解する前に作業台の表面が清潔であることを
確認してください。
1. 油圧モータから全ての作動油を適切な容器の中へ排出し、処分して下さい。すぐに入口と出
口のポートを塞ぎ、汚れの侵入を防止してください。モータを作業台の上で垂直に立て(ア
イボルトを一番上に)、適切な架台に固定します。
2. アイボルト(25)を外し、カバー(60)を持ち上げて外します。キャップ(38)を外してク
ワッドリング(17)を点検し、破損していれば交換してください。ダッシュポット(57)を
持ち上げて外し、O-リング(3)を点検して必要に応じて交換してください。オイルディフレ
クタ(39)を取り外し、O-リング(9)を点検して必要に応じて交換して下さい。
3. スプリングネジ(52)を取り外して O-リング(11)を点検し、破損していれば交換してく
ださい。ユニットを慎重に傾け、戻り止めスプリング(2)とローラーフォロワ(47)を適切
な容器の中に落とします。
注意事項:これらの部品を取り外すときは、必要に応じて表面にプラスチックハンマー等の柔軟
な工具で叩いてください。部品が外れたことを確認してから、次の作業に進んでください。
六角穴付きボルト(21)を緩めて取り外します。六角穴付きボルト(21)の 1 本をダウエル
の隣のジャッキ穴に差し込み、戻り止めハウジング(46)を取り外します。O-リング(12)
を点検し、破損していれば交換してください。
ユニットを慎重に傾け、円筒ローラー(45)を適切な容器の中に落とします(磁気プローブ
があれば使用)。円筒ローラーを点検し、必要に応じて交換してください。
4. 反対側の戻り止めアッセンブリーについても上記の手順を繰り返します。
5. ピストンロッド(54)を「アップ」位置まで押します。このとき排出される作動油を適切な
容器で受けて下さい。6 本の六角穴付きボルト(24)とワッシャー(29)を緩めてエンドキ
ャップ(44)から取り外します。ピストンリテーナー(49)内でトリップインサート(53)
を保持しているサークリップ(31)に手が届くように、エンドキャップを慎重に上方へ持ち
上げます。
適切なサークリッププライヤを使ってサークリップ(31)を取り外し、トリップロッドアッセン
ブリー(61)をピストンリテーナー(49)から分離します。これで、エンドキャップアッセンブ
リーを取り外すことができます。エンドキャップアッセンブリーを作業台の上に置き、エンドキ
ャップ(44)の 2 個の O-リング(10)をガスケット(40)と一緒に交換してください。
ピストンロッド(54)を「ダウン」位置まで押します。このとき排出されるオイルを適切な容器
で受けてください。6 本の六角穴付きボルト(23)とワッシャー(28)を取り外し、シール軸受
けハウジング(50)をガスケット(14)と一緒に下部カバー(58)から引き出し、ピストンロ
ッド(54)から分離します。
6 本の六角穴付きボルト(24)とワッシャー(29)を取り外します。下部カバー(58)をガス
ケットと一緒に取り外し、ピストンアッセンブリー(54)をシリンダ(59)から取り外します。
シリンダボアに摩耗や損傷がないか点検し、引っかき傷やボア径の摩耗が認められたら交換して
ください。O-リング(10)とガスケット(40)を交換してください。ピストンロッドアッセン
ブリーを下部カバー(58)から取り外します。
注意事項: ピストンロッド(54)の取外しや取扱いにおいては、作動面に傷を付けないように最大限の
注意を払ってください。
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4.2ピストンシールの交換
ピストン(48)やその他の部品に傷を付けないように、ピストンシール(16)をピストン
(48)のリテーニングリップから慎重に外します。摩耗板(36)に摩耗や損傷がないか点検し、
必要に応じて交換してください。ピストンシール(16)は必ず交換してください。ピストンロッ
ド(54)に損傷や引っかき傷がある場合は交換してください。すぐに再組立てを行わないのであ
れば、ピストンロッドアッセンブリーを適切な保護用のナイロンメッシュにくるんで保管してく
ださい。
4.3パイロットバルブの取外し - トリップバルブ Assy(61)の一部
まずスプリットピン(33)をトリップロッドの先端から取り外し、キャッスルナット(19)とロ
ックナット(20)を外します。これで、2 個のスプリングキーパー(56)、トリップスプリング
(1)、トリップインサート(53)を取り外すことができます。トリップバルブをエンドキャッ
プ(44)から引き抜きます。このとき、トリップバルブの作動面に傷を付けないように注意して
下さい。3 本の六角穴付きボルト(22)とワッシャー(27)を取り外すと、バルブスリーブ
(55)をエンドキャップ(44)から取り外せるようになります。O リング(5、7、8)を交換し
てください。
4.4シャフトシールとワイパシールの交換
シールハウジング(50)に傷を付けないように、シャフトシール(15)をシールハウジングのリ
テーニングリップから慎重に外します。バックアップリング付きの新品のシールを溝に挿入しま
す(O リングの「U」断面を圧力側に向けて)。
ワイパシール(18)をシールハウジングのリテーニングリップから慎重に外してください(ハウ
ジングに傷を付けないためには、ロングノーズプライヤとナイロン製レバーが必要になります)。
新品のシールを挿入します(O-リングの「U」断面をメインシール側に向けて)。
シールハウジング内の摩耗板(35)に摩耗が見られないか点検し、必要に応じて交換してくださ
い 。
ガスケット(14)を交換してください。
注意事項: - 新品のシールと摩耗板の組み付けられたシールハウジングが、点検修理交換ユニッ
トとして用意されています(部品番号 501970)。
シールハウジングを下部カバーに取み付けるときは、組付け専用工具(部品番号 192120)の使
用をお勧めします。
重要な注意事項:
ピストンリテーナー(49)をピストンロッド(54)から外さないでください。
トリップロッドアッセンブリー(61)を分解しないでください。
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5.油圧モータの 組立て
再組付けを始める前に、使用する全ての部品が完全に清掃され、良好な状態であることを確認し
てください。エンドキャップ(44)と下部カバー(58)に対するシリンダアッセンブリー
(59)の向きに注意し、正しいオイル通路となるようにしてください。
再組付けを始める前に、全体の配置図(10 69 33)を参照してください。作動面、O-リング、
ガスケットに傷や損傷を与えないように注意してください。全ての内部部品に軽油を塗布してく
ださい。
5.1ピストン
ピストンロッドアッセンブリーのピストン(48)はシリンダアッセンブリー(59)の底部に挿入
する必要があります。2 つの摩耗板(36)を取り付けるときは、摩耗板の合わせ目が放射状に並
ばないようにしてください。
ピストン(48)はシリンダアッセンブリー(59)のエンドキャップ後端から 25mm 以上内側に
押し込まないように注意して、ピストンロッド(54)は中央で支えてください。
5.2トリップバルブと戻り止め
O-リング(5、7、8)の組み付けられたスリーブ(55)をエンドキャップ(44)に挿入します。
Locktite 222 を 3 本の六角穴付きボルト(22)に塗布し、ワッシャー(27)を付けてエンドキ
ャップ(44)に手でねじ込みます。続いてトリップバルブアッセンブリーをスリーブ(55)に通
します。このとき、カムの形状を戻り止めのボアにそろえてください。
ローラー(45)と O-リング(12)の組み付けられた戻り止めハウジング(46)を慎重にスリー
ブ(55)に挿入します。このとき、ダウエルとダウエル穴をそろえてください。スペーシングシ
ム(51)を加え、六角穴付きボルト(21)を締め付けます。
次に、スリーブ(55)に通した 3 本の六角穴付きボルト(22)を完全に締め付けます。
ローラーフォロワ(47)と戻り止めスプリング(2)を挿入し、O-リング(11)の組み付けられ
た戻り止めネジ(52)を両方の戻り止めハウジング(46)にねじ込みます。
サークリップ(31)、トリップインサート(53)(向きに注意)、スプリングキーパー(56)、
トリップスプリング(1)をトリップロッドアッセンブリー(61)に取り付けます。
ナット(19、20)を取付けて締め付け、スプリットピン(33)を取り付けます。
エンドキャップアッセンブリーを保持します。準備したトリップスプリングをピストンリテーナ
ー(49)に通し、サークリップ(31)を使ってトリップインサートをピストンリテーナーに固定
します。
O-リング(10)を破損しないように注意しながら、エンドキャップ(44)をシリンダアッセン
ブリー(59)へ慎重に挿入します。このとき必要に応じてピストンを押し下げてください。
六角穴付きボルト(24)とスプリングワッシャー(29)をエンドキャップ(44)に取り付け、
108Nm~122Nm(80~90 lbf ft)のトルクで締め付けます。
O-リング(10)とガスケット(40)が下部カバー(58)に取り付けられていることを確認して
ください。下部カバー(58)をシリンダアッセンブリー(59)へ慎重に挿入します。このとき、
O-リング(10)やピストンロッド(54)を破損しないように注意してください。
六角穴付きボルト(24)とスプリングワッシャー(29)を下部カバー(58)に取り付けて、
108Nm~122Nm(80~90 lbf ft)のトルクで締め付けます。ガスケットに均一に圧力が加わる
ように、少しずつ均等に締め付けてください。
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5.3シールハウジング
シールハウジング(50)に摩耗板(35)、ワイパシール(18)、シャフトシール(15)を組み
付け、さらに O-リング(6)とガスケット(14)を取り付けます。
摩耗板、シール、O-リングには作動油を注油してください。
組付け専用工具とシャフトスリーブをピストンロッド(54)の先端に取り付け、リテーニングナ
ットを使って保持します。シールハウジングをピストンロッド(54)の上に置き、下部カバー
(58)に押し込みます。ガスケットとエア抜き穴の位置がそろっていることを確認してください。
スプリングワッシャー(28)の組み付けられた六角穴付きボルト(23)を取り付けて、締め付け
ます。
組付け専用工具を取り外し、次回のシール交換に備えて保管してください。
O-リング(9)の組み付けられたディフレクタ(39)をピストンロッド(54)に通します。
ワイパシールと軸受けに初期潤滑を行うために、オイルシリンジ(192121)を使用して 10cc
の作動油をスタッドエルボー(37)からシールハウジング内に注入します。
5.4ダッシュポット
ダッシュポット(57)をエンドキャップ(44)に挿入し、クワッドリング(17)の組み付けら
れたキャップ(38)を取り付けて、締め付けます。O-リング(10)とガスケット(40)がエン
ドキャップ(44)に取り付けられていることを確認してください。
カバー(60)をエンドキャップ(44)に通し、カップワッシャー(43)とアイボルト(25)を
取り付けて、締め付けます。
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6.保守 点検
場 所 点検内容 時 期
オイル受けボトル 空であること 必要に応じて
ロッド 引っかき傷、漏れ、破損、滑らかな作動 週に一度
ロッドシール 漏れ、スクレイパーの破損(毎年交換) 週に一度
ホース 漏れ、磨耗 週に一度
ポンプ接続ナット 締まり具合 2 週間に一度
本体 漏れ全般 月に一度
オイルフィルター
(パワーパック)
状態(必要に応じて交換) 月に一度
ピストン シールと摩耗板の交換 年に一度
油圧オイル
(パワーパック)
交換 年に一度
保 管
油圧モータを長期間使用しない場合は、全ての内部部品に軽油を塗布し、入口と出口のポートを
確実に塞いでください。モータを適切なカバーで覆い、安全な場所に保管してください。
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7.トラブルシューティング
問題点 原 因 対 策
モータが始動し
ない
油圧が低い
供給/戻りバルブが開かない
戻り止め/バルブギアが破損して
いる
パワーパックとレギュレータを点検する
バルブを開く
モータを分解し、摩耗/破損している部品
を交換する
モータが切替わ
り時に停止する
ポンプシャフトが底付きする
戻り止め/バルブギアが破損して
いる
モータのエア抜きを行う
モータのストロークとフルイドセクション
(ボールとシート)を点検し、相容性を確
認する
モータを分解し、摩耗/破損している部品
を交換する
エア抜きを行う
切替が不安定 バルブギアおよび/または O -リ
ングが摩耗している
バルブギアと O -リングを交換
シャフトへのオ
イル付着
オイルシールかワイパシールが摩
耗している
シャフトが摩耗している
シールを交換、
シャフト、ベアリング、シールを交換
切替時のモータ
の騒音
ダッシュポットがない
トリップバルブアッセンブリー/
スリーブが摩耗している
点検して装着
交換
作動が不安定 フルイドセクションのサクション
シートに問題がある
サクションシートを点検する
アップストロー
クとダウンスト
ロークで塗料の
圧力が異なる
ピストンシールが摩耗/破損して
いる
ピストンシールを交換する
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8スペアパーツリスト
11B 油圧モータ用工具
部品番号 名 称 備 考
192120 シャフトスリーブ組付け専用工具 スリーブとリテーニングナット
192121 オイルシリンジ ワイパシールと摩耗板への初期潤滑用
11B 油圧モータ用スペアパーツキット
分解検査キット 25 05 24 (#)
Item 部品番号 名 称 数量 備 考
(1) 160407 トリップスプリング 1
(2) 160408 戻り止めスプリング 2
(3) 161023 O-リング 1
(5) 161450 O-リング 1
(6) 161452 O-リング 1
(7) 161453 O-リング 1
(8) 161454 O-リング 2
(10) 161457 O-リング 3
(11) 161560 O-リング 2
(12) 161620 O-リング 2
(13) 161958 O-リング 1
(14) 161966 ガスケット 1
(15) 192115 シャフトシール 1
(16) 162589 シール 1
(17) 162678 クワッドリング 1
(18) 192116 ワイパシール 1
(31) 166112 インターナルサークリップ 1
(33) 166502 スプリットピン 1
(35) 171889 摩耗板 2
(36) 171890 摩耗板 2
(40) 191253 ガスケット 2
(45) 191913 円筒ローラー 2
(46) 191914 戻り止めハウジング 2 #(No. 32 を備える)
(47) 191915 ローラーフォロワ 2
(55) 191986 スリーブ 1
(61) 207971 トリップバルブ/ロッドアッセンブリー 1
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「スペアパーツ」
11B 油圧モータ用スペアパーツキット
シールキット 25 05 32 (X)
Item 部品番号 名 称 数量 備 考
(1) 160407 トリップスプリング 1
(2) 160408 戻り止めスプリング 2
(6) 161452 O-リング 1
(10) 161457 O-リング 3
(11) 161560 O-リング 2
(12) 161620 O-リング 2
(14) 161966 ガスケット 1
(15) 192115 シャフトシール 1
(16) 162589 ピストンシール 1
(17) 162678 クワッドリング 1
(18) 192116 ワイパシール 1
(31) 166112 サークリップ 1
(33) 166502 スプリットピン 1
(35) 171889 摩耗板 2
(36) 171890 摩耗板 2
(40) 191253 ガスケット 2
11B 油圧モータ用パーツキット
シールハウジング点検修理キット 50 19 70 (O)
Item 部品番号 名 称 数量 備 考
(6) 161452 O-リング 1
(14) 161966 ガスケット 1
(15) 192115 シャフトシール 1
(18) 192116 ワイパシール 1
(35) 171889 摩耗板 2
(50) 192117 シールハウジング 1
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2017.05-Ver.6.1-J02
安全注意事項
項 目
数 量
数 量
慨 要
1.1概要
1.2動作原理
1.3仕 様
2据え付け
3.パーツリスト/図面
4.保守
4.1油圧モータの点検と分解
4.2ピストンシールの交換
4.3パイロットバルブの取外し - トリップバルブAssy(61)の一部
4.4シャフトシールとワイパシールの交換
5.油圧モータの 組立て
5.1ピストン
5.2トリップバルブと戻り止め
5.3シールハウジング
5.4ダッシュポット
6.保守 点検
7.トラブルシューティング
8スペアパーツリスト